能『三輪』 大津伝統芸能会館 2022年10月16日(日)・大神神社

大津市

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2度目の能楽鑑賞

1年ぶり、2度目の能楽鑑賞に行ってきました。

13:30開場

席は前から7列目の中央で、見やすかったです。

6割くらいの入場で、前回より若干少な目でした。

14:00開演

お話 林 和清 歌人

14:00〜14:30

今回も解説は歌人の林 和清さんでした。前回のお話も面白かったのですが、今回はより熱く語っておられました。

特に「三輪の妻問いの神話」箸墓古墳の名前の由来になった説明から、箸墓古墳=卑弥呼の墓説に対する、疑問など。

また、30年後位にはもう少し、古墳の調査が進むのではないかという事など。

調査のみでは宮内庁から許可が降りないようですが、古墳の修復の際にあわせて調査することができるようで、後30年かけて、修復と調査がされていくのではないかとおっしゃていました。

14:30〜14:50   休憩

本編

14:50〜16:30

女・三輪明神  青木道喜

玄賓僧都  有松遼一

所の男  茂山忠三郎

大鼓 河村 大 太鼓 前川光範 小鼓 成田 達志  森田保美

後見 宮本茂樹 大江信行

地譜 樹下千慧 田茂井廣道 河村和貴 味方 玄 松野浩行 味方 團

物語

シキミと閼伽の水(仏前に供える水)を持った女が、徳の高い僧・玄賓(げんぴん)のもとに夜毎、現れます。

ある夜、その女は秋も深く寒いので、衣を1枚いただきたいと告げます。玄賓は衣を与え、住まいを尋ねると、三輪山の麓、門に杉の木が立っていると答えました。

後日、玄賓が訪れると、御神木の杉の枝に与えた衣が掛かっていました。

やがて三輪の神が女の姿で現れ、神も衆生を救うために迷い、人と同じような苦しみを持つので、罪を救って欲しいと頼みます。そして「三輪の妻問いの神話」「天照大神の岩戸隠れの神話」を語り、「神楽」を舞い、夜明けと共に消えていきます。

神は衆生を救うため、高徳の玄賓によって、仏縁に結ばれたいと願って、訪ねてきたのでした。

大神神社(三輪明神) 大和国一宮

古代信仰の形を今に伝える、日本最古の神社の一つといわれています。

御祭神

主祭神 大物主神(おおものぬしのかみ)

配祀 大己貴神(おおなむちのかみ) =大国主命

   少彦名神(すくなひこなのかみ)

*配祀=主祭神と縁故の深い神

日本書紀では大物主神=大国主命ですが、古事記では別の神となっています。

国造り

伊弉諾尊伊弉冉尊が国産みをしていましたが、伊弉冉尊が死んでしまった為、国造りは中断していました。

それを素戔嗚尊の六世孫の大国主命が再開します。

しかし、共に国造りをしていた少彦名神が急に常世国へ行ってしまいます。

そこへ三輪山の神が現れ、「私を三輪山に祀れば国造りを手伝う」とのこと。

で、国造りは完成します。

出雲の国譲り

国造りが完成したので、天つ神は地上に統治者を降ろすことにし、色々ありましたが、大国主命とその息子達と話し合い、国譲りが完了します。

しかし、大和国の一宮に出雲の神様が祀られているのは、やはり、出雲の神様の怨霊を鎮めるためなんでしょうか。

拝殿

三輪山を御神体とする大神神社は本殿を造らず、神の山と拝殿の間には三ツ鳥居(明神型の鳥居を横一列に組み合わせた独特の形式)が建っています。

三輪の妻問い神話

第七代孝霊天皇皇女・倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)大物主神の妻になりましたが、いつも夜にしか来ないので、姿を見る事ができませんでした。

姫はお姿が見たいので、朝までいて欲しいと頼みました。しかし、翌朝、明るくなって見たのは、美しい蛇の姿でした。姫が驚き叫んだため、大物主神は恥じて三輪山に帰ってしまいました。

姫はこれを後悔し、泣き崩れた拍子に、箸が隠部を突き絶命してしまいました。百襲姫が葬られた墓は箸墓と呼ばれています。

玄賓

天平6年(734年)ー 光仁9年(818年)

法相宗の僧で河内国の出身で俗姓は弓削氏です。

桓武・平城・嵯峨天皇に厚い信任を得ながら、俗事を嫌い三輪山の麓に隠棲したといわれています。

弓削氏

弓を製作する弓削部を統率した氏族で、物部氏の一族とされています。

弓削道鏡・文武天皇4年(700年)?ー宝亀3年(772年)より、30歳以上年下ですが、同じく河内出身で、法相宗の僧なので、政治的な事から距離を置いたのには、道鏡の事件も関係しているかもしれません。

衣掛けの杉

大神神社の拝殿へ続く石段の右手に、玄賓が与えた衣が掛かっていたと伝えられる神杉があるそうです。

玄賓庵

山岳仏教の寺として、三輪山の檜原谷にありましたが、明治初年の神仏分離により現在地・桜井市茅原に移されました。

能と神話と古代史

大神神社を訪れたのは9年ほど前でした。

その時は玄賓僧都の事は全く知らず、玄賓庵へも立ち寄りませんでした。

今回「三輪」を鑑賞することで、神話や歴史もよりわかりました。

これからも、出来るだけ色々な能を観たいと思います。

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