能 春日龍神 龍女之舞 大津市伝統芸能会館・春日大社

大津市

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2023年最初の能楽鑑賞

2023年1月7日(土)

「大和」を舞台にした企画の最終回です。

13:30開場

席は9列目で、正面席の中央ですが一番後ろです。

S席 前売 ¥6,000

14:00開演

お話 林 清和 歌人

14:00〜14:30

主人公の明恵上人について詳しく、解説して下さいました。

上人について全く知識が無かったのですが、大変魅力的な人物であることがわかりました。

歴史の授業では習わなかったけれど、能を見る事で、歴史を深く知りことができ、合わせて楽しむ事ができました。

14:30〜14:50  休憩

本編

<舞囃子> 二人静

田茂井 廣道 、味方 團

<能> 春日龍神 龍女之舞

宮守・龍神  味方 玄

明恵上人   岡 充

宮守     味方 梓

龍女     青木 真由人、片山峻佑

明恵(みょうえ)上人

容姿端麗

承安3年(1173年)ー寛喜4年(1232年)

幼い頃から容姿が優れていたので、4歳の時、父から「大きくなったら御所へ上げよう」と言われ、その時既に出家するつもりでいた上人は、わざと縁から落ちて身体を傷つけようとしたと言われています。

9歳で高尾・神護寺に入山

父・平重国=紀伊有田郡の領主、挙兵した源頼朝との戦で戦死

母・湯浅宗重の四女。

8歳の正月に母を亡くし、父も同じ年の九月に亡くしています。

釈迦への深い思慕の念

一生不犯を通し、13歳の時には「すでに年老いた、この体が苦しみのもとなら、処分しよう」と墓場に横たわり野犬に食われようとしました。

また、26歳の時には修行の為、自らを追い込み、耳を切り落としたりしました。

美貌の僧侶の説法は女性にも大人気でしたが、まわりの雑音も無視し、仏の道を邁進していきます。

唐天竺へ渡り仏跡巡礼を決意

元久元年(1205年)32歳頃、『大唐天竺里程記』を作り、唐天竺渡航を計画します。

しかし、春日明神の信託の為、断念することになりました。

その場面がこの能で表現されています。

物語

唐と天竺へ渡ることを決意した上人は暇乞いに春日を訪れます。

そこで老人の宮守と若い宮守に出会い、上人の目的を聞いた宮守たちに、春日の明神が上人を頼りにしているから、思い留まるように告げられます。

春日明神

春日明神の本地(真の姿)は釈迦如来で、釈迦滅後の今日では三笠山こそが釈迦説法の聖地・霊鷲山(りょうじゅせん)であると宮守たちは説明します。

この説明に上人は納得し、計画を断念します。

龍神と龍女の舞

後半は赤と緑の華麗な衣装に大きな龍の飾りを頭に付けた二人の龍女金の衣装に龍女以上に大きな龍の飾りを頭に付けた龍神が舞います。お囃子もどんどん激しくなっていきました。

新春にふさわしい華やかな舞でした。

春日大社

春日大社の神体山・三笠山の標高は295メートル。古代から崇められてきました。

明治初年の「神仏分離令」で春日大社は興福寺から離れました

創建

768年藤原氏の氏神として藤原永手によると伝えられています。

御祭神

武甕槌命(たけみかづちのみこと)

経津主命(ふつぬしのみこと)

天児屋根命(あめのこやねのみこと)

比売神(ひめがみ)

春日大社では1年間に1000にも及ぶ祭があるそうです。

采女神社

9月には采女祭が執り行われます。

春日大社の末社です。

猿沢池のほとりにひっそりと建っています。

以前読んだ本にも登場し、今年の中秋の名月は采女神社で見たいと思っています。

采女の怨霊 小余綾俊輔の不在講義   著者 高田崇史 新潮社

紀伊神社

本殿から最も離れた最南端にある、春日大社の摂末社で、かつては「奥の院」と呼ばれていました。

神社の西側には「龍王珠石」と呼ばれる石がたくさん積まれています。ここには雨乞いの竜王「善女竜王」が尾玉を納めたという伝説があります。

その後の明恵上人

建永元年(1206年)後鳥羽上皇から栂尾(とがのお)の地を下賜されて高山寺を開山します。

戒律を重んじ、華厳経学の研究や坐禅修行に励むかたわら、お茶の普及にも貢献したり。

承久の乱で敗兵をかくまった事から、鎌倉方の総司令官・北条泰時と親交が始まり、御成敗式目をつくる上にも、思想的な影響を与えました。

和歌

西行藤原定家とも交流があり、歌人としても有名です。

『あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかあかや月』

上人が月を讃えた歌です。

華厳宗の復興

鎌倉時代、法然上人や親鸞上人などが新仏教を開いていきますが、明恵上人は釈迦の原点に帰ろうと華厳宗の復興を目指しました。

二人静

舞囃子(まいばやし)

能のダイジェスト版です。能の面白い部分だけを取り出し、装束を付けず紋服・袴のままで演じます。

静御前

正月、吉野山の勝手神社で神職が7日の神事に供える若菜を摘んでくるよう、菜摘女に命じます。

菜摘女はそこで里女に呼び止められ、自分の供養を頼まれます。

急いで帰り神職に報告しますが、突然里女に取り憑かれます。神職が里女に名を訊ねると、亡霊は源義経に仕えた女だと答えました。

里女の正体が静御前であることに気づいた神職は、舞の名手だった静の舞が見たいと言います。

勝手神社には生前静が納めていた舞装束がありました。菜摘女がまとうと、静が姿を現し雪の吉野山で義経と別れた時のことを思い出しながら菜摘女と一緒に舞います。

そして悲しい記憶を振り返り、再び弔いを頼むと、菜摘女の中から消えていきます。

新春公演

とにかく、内容の濃い演目でした。

まだまだ、初心者で細部まで良さがわかっていませんが、それでも色々楽しめるポイントが盛りだくさんでした。

次回も楽しみです。

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